第96回アカデミー賞レッドカーペットに、女優のキャリー・マリガンがまるでモノクロームの魔法にかかったかのようなエレガントな装いで登場しました。黒のベルベットとクリーム色のチュールが織りなす人魚のようなシルエットは、まさにオールドハリウッドへのオマージュ。ノミネートされている主演女優賞受賞作『マエストロ』の世界観とも見事にリンクしています。
注目すべきは、スカラップ状にカットされたベルベットのハート型ネックラインと、その下から覗くふんわりとしたチュールスカートの絶妙なコントラスト。肘丈のベルベットグローブ、クラシックなダイヤモンドのイヤリング、そしてナチュラルな美しさを引き立てるヘアスタイルとメイク。まさに「気取らない、それでいて洗練されたミニマリズム」を体現したマリガンらしい装いです。
このドレスは、早くも「ベストドレッサー」候補の筆頭となっています。実はスペインのラグジュアリーブランド・バレンシアガの創始者であるクリストバル・バレンシアガが1951年に発表したデザインを、驚くほど忠実に再現したものなのです。まさに映画『マエストロ』の時代設定へのこだわりがレッドカーペットにまで表れています。
常にクラシックでありながら大胆なシルエットを好み、ミニマルなカラーパレットでドレス本来の形と美しさを際立たせるのが、マリガン流のレッドカーペット戦略。今回で3度目となるアカデミー賞主演女優賞ノミネートを果たしたマリガンは、リリー・グラッドストーン、エマ・ストーン、サンドラ・ヒュラー、アネット・ベニングらとしのぎを削ることになります。栄冠を手にできるかはさておき、マリガンはこのレッドカーペットでも、ファッションの話題をさらうことは間違いないでしょう。