「モンクレール ジーニアス」で追い求めるのはフェミニニティーと実用性

モンクレール Tシャツ コピーさまざまなクリエイターとのコラボレーションを通して多様性を追求するプロジェクト「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」に特化した期間限定ポップアップストア「ハウス オブ ジーニアス 東京」で11月17日から、英国を拠点に活躍するデザイナー、シモーネ・ロシャ(Simone Rocha)による“4 モンクレール シモーネ・ロシャ”にフォーカスしたイベントを開催する。21日まで。シモーネのフェミニニティーと「モンクレール」のクラフツマンシップを融合したコレクションにフォーカスすることにちなみ、同店はフェミニンな世界観でお茶を楽しめる“ティー・バー”を設置。期間中は、150年の歴史を誇るフランスのティーメゾン「クスミティー(KUSMI TEA)」のティー・テイスティングが楽しめ、詰め合わせがもらえるサービスを実施する。さらに期間中に“4 モンクレール シモーネ・ロシャ”のコレクションを購入した人には、彼女がキュレーターを務めたアントワープ生まれの雑誌「エー マガジン(A MAGAZINE)」の最新号もプレゼント。可憐なダウンウエアを生み出した彼女に、インタビューした。

optimize.webpなぜこのプロジェクトに参加しようと思ったのか?

オファーをいただき、レモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)モンクレール会長兼最高経営責任者の「モンクレール ジーニアス」という素晴らしいビジョンに参加したいと思ったんです。各フィールドから集まったエキスパートと仕事ができるのは、とても光栄なことだと思いました。

8者8様のクリエイターが集った中で、自分自身はどんなラインを作るべきと思った?

optimize.webp (2)ボリュームのあるシルエットと脱構築的なプロポーション、プラクティカル(実用的)だけど女性らしい。そんな新しいアイデアの調和を作りたいと思いました。

そのアイデアは18-19年秋冬、19年春夏コレクションにどうに反映されている?

18-19年秋冬は、「山」というコンセプトにインスピレーションを得ました。「モンクレール」で最初のコレクションは、19世紀ヴィクトリア時代の女性登山家がミューズ。シルエットやボリューム感で表現しています。そこに私のフェミニニティーと、「モンクレール」の実用性を組み合わせました。19年春夏は、フェミニニティー&実用性というアイデアを違った背景に落としこみ、発展させています。今回はイングリッシュ・ガーデンにインスピレーションを得て、より軽い素材にフラワーモチーフや刺しゅうを加えましたが、実用的なディテールは忘れていません。私の美的感覚をどうやって新たな素材やテクニックに組み込み発展させるのかを考えることは、素晴らしい経験でした。ボリュームやラッフル、装飾を使って、クラシックなダウン素材からモダンでフェミニンな新しいイメージを作りだすことができました。

協業するようになって改めて気づいた、「モンクレール」のすごさは?

制作のさまざまな段階でコラボレーションをするのは、とても重要です。それがより多くのアイデアを生み出すきっかけになります。クラシックなダウンを使って実験を重ね、フェミニンでありながら実用性を持ったボリューム感やシルエットを追求できたのは、素晴らしい経験でした。

「モンクレール ジーニアス」が追求するダイバーシティーやインクルーシブ(包括性)というアイデアは、これからのファッション業界にとって必要なことだと思う?

もちろんです。ファッション業界に限らず、すべての業界とあらゆる職業がインクルーシブでオープンであることが大切だと思います。

ラインごとに、時期も、場所も変えての“ドロップ”という販売手法についてはどう思う?正直、「自分のコレクションはオールシーズン、最初から最後までいろんなお店で売って欲しい!」って思わない?

「モンクレール」のパートナーであるドーバー ストリート マーケット(DOVER STREET MARKET)と引き続き仕事ができること、ロンドンとニューヨークにある私自身のブティックにも“4 モンクレール シモーネ・ロシャ”を置けることは、とても嬉しいことです。

「ミントデザインズ」が目指す“マイペース”なパリ進出 ショーを行わなかった理由は?

勝井北斗、八木奈央による「ミントデザインズ(MINTDESIGNS)」の2019-20年秋冬は、“ステッチワーク(刺しゅう)”がテーマ。「ゴミ袋に刺しゅうがしてあったらきっとかわいい」という意外性のあるアイデアが出発点といい、ビニルタッチの黒い生地にクロスステッチで花柄をのせたドレスやバッグはまさにそんな感覚だ。ほかにも、キルティングやビーズ装飾など、さまざまな刺しゅうを盛り込んでいる。これまではランウエイショーやモデルプレゼンテーションを毎シーズン行ってきたが、今季は実施せず、マネキンでのインスタレーションを発表。そこに込めた意図を勝井と八木に聞いた。

optimize.webp (2)“ステッチワーク(刺しゅう)”は、ファッションデザインのテクニックとしてはありふれています。ミント流のこだわりはどんなところ?

刺しゅうは手の温もりを感じて、丁寧なモノ作りを象徴するもの。ただし、ストレートに刺しゅうを出すと“ほっこり”してしまう。プロダクトっぽさの中で刺しゅうの温かみを出せるといいなと考えたのが今回の出発点です。ファッションブランドでありながらプロダクトっぽいというのは、もともとブランドの軸の一つ。服って、生身の人間が着ることの面白さはもちろんありますが、四方八方から見る面白さもあると思う。作られた世界観をそのまま切り取って楽しんでほしくて、今回はインスタレーション形式にすると共に、作品(ルック)撮影に力を入れました。

たしかに、今回のルック写真は世界観が作り込まれていて面白いです。一方で、やはりショーが見たいという声もあったのでは?

ブランド設立から17年、これまで34回ショーを行ってきました。昔はショーをすることが楽しい、ショーで感動させたいという気持ちがすごく強かったけど、今は少し心境が変わってきています。ブランドとして5~10年後にどうしたいのかを考えるタイミングにきていると思う。どんなデザインをどんなお店に卸して、どんな人に届けたいか。社内の若いスタッフを含めて、「ミントデザインズ」はこういうブランドです、というのを原点に返って見せないといけない。今まで突っ走ってきたから、ブランドとして足りないものが何かを探しています。

optimize.webp (1)ファンであっても、初期のシーズンのことは見ていないという人も多いし、17年間ブランドをやってきたとはいえ、われわれのことを全く知らない人は国内外にたくさんいる。だから、身元整理というか自分たちのやってきたことを振り返るという意味で、一旦落ち着いて作品撮りを強化しました。目指したのは、シーズン性やトレンドに関係なく、5~10年後に見ても強いと思ってもらえるような作品。大人のためのシンプルで着やすい服というのもステキだと思いますが、私たちはマスに向けてデザインするということが難しい。器用じゃないから、これからも独特なやり方を貫いていきます。

ブランド設立10周年だった11年11月には、盟友である「アンリアレイジ(ANREALAGE)」との合同ショーでアニバーサリーをお祝いしました。3年後の20周年に向けて、パリ進出など目指すことはありますか?

20周年を機にパリで展示会やプレゼンテーションをするというのも、「遅っ(笑)」って感じでいいかな。それもまたマイペースな「ミントデザインズ」らしいかなと思います。

パリで自分たちがどんなことができるかをリサーチ中です。今まではショー開催を念頭にスケジュールを組んでいましたが、パリでの展示会開催に向けて、新作発表のタームを早めようかなと考えています。